近年、保健医療福祉の実践の場では、自身の専門知識を持つ上に、他の専門職について理解し、チームとして問題解決できる能力を養うことによって、多様化、深刻化している諸問題に対処できるような人材育成が求められてきている。しかし、この卒前専門職連携教育(Inter-Professional Education、以下IPEとする)に関する報告は少なく、教員養成課程における報告もわずかである。そこで本研究では、養護教諭および栄養教諭養成課程における教職実践演習において、平成25年度から27年度までの看護学科と栄養学科の両学科における合同演習教育プログラムを、学生の授業評価や教育現場との連携を図りながら振り返り、多職種連携を主眼とした演習プログラムの開発に資することを目的とした。方法は、山口県内の小中学校に勤務する養護教諭、栄養教諭各2名に依頼し、演習プログラムに対する意見をグループインタビューにより把握した。また、学生の授業終了時の授業評価や感想を整理した。その結果、学生の振り返りから、本演習プログラムの効果として、「専門性や役割の理解」「新しい視点・視野の広がり」「連携・協働のイメージ、重要性の実感」が明らかになった。一方学校現場の教諭からは改善点として、「演習事例の背景設定を学校や保護者の実情に沿ったものに」「児童生徒の心身の発達段階に応じたアプローチや教材作成」などがあがった。今後の教職課程の充実を図るためには、これらの意見を反映し、IPEの学習プロセスを評価できるようにすることが課題としてあげられた。