本研究の目的は、平成28年に公示された「総合的な学習の時間」の中学校新学習指導要領を事例に新旧の学習指導要領の対比を行い、「総合的な学習の時間」の要点を整理するとともに、その課題を明らかにすることである。分析の結果、第一に、カリキュラム・マネジメントが強調されるにあたり教科等間、学年間、各学校段階間の連携が密度を増していくことにより、教師の負担が大きくなる懸念があること。第二に、「社会に開かれた教育過程」の方針が言語能力を中核とした「コミュニケーション能力」に収斂される傾向にあることから、「コミュニケーション能力」以外の能力が看過される恐れがあることを指摘した。