本研究は、ペアレントメンター活動が活動者にもたらす意味を再考し、ペアレントメンターとして活動する発達障害児を育てる母親の支援及び成長発達にかかわる支援者の役割を考察した。ペアレントメンター養成に携わった筆者の実践と省察をもとに探求した結果、ペアレントメンターにとっての意義を明らかにし、本邦の発達障害者支援施策としてすすめられているペアレントメンター養成事業のあり方への提案を行うことができた。専門家の役割として、(1)人材の発掘(2)ペアレントメンターへの継続的サポート(3)ペアレントメンター同士の関係を構築すること、を挙げた。共生社会における子育てコミュニティを構築するためには、当事者の代弁者となる母親が社会に積極的にかかわるシステムが必要である。ペアレントメンターが生き生きと活動できる場を創造していくことで、インクルーシブな視点を包含した子育てコミュニティを創造することができると考える。