「子ども学」という学問がどのようなものであるかを定義することは困難な仕事である。そこで「子ども学」を修めた人間像を考えることにより、そのような人材を「子ども学」を具現化したものとしてとらえるという間接的な定義を試みた。「子ども学」を修めた人間が備えるべき能力としては反省的実践力が考えられ、これを支えるより汎用的な能力として批判的思考力があることを指摘した。ここから、「子ども学」を修めた人間とは、領域固有のものであるとしても批判的思考を行えるようになった上で、子どもに関わる事象において必要や状況に応じて反省的実践を行える人材であり、そのような人材が「子ども学」の具現であるという考えを提案した。また最後に、大学教育において批判的思考力を育成する実践に関する研究をいくつか紹介し、「子ども学」を具現する人材の養成について考察した。