本研究では、西洋と日本の自然観の違いが、保育の中に見出すことができるのかを、平成29年度の保育所保育指針の改定に注目して検討してきた。その結果、以下のことが明らかになった。
1.平成20年度版の保育所保育指針では西洋の自然観を示すような文言はなかったが、平成29年度の保育指針改定によって、西洋の自然観である「法則性や操作性」が保育所保育指針に取り入れられた。
2.改定時の審議会の議論を調べた結果、保育に「法則性や操作性」を取り入れる必然性について議論された形跡はなく、幼保小連携の強化という保育の必然性とは異なる理由によって変更されたことが推察される。
3.改定前後の保育実践集に取り上げられている「環境」領域の保育のねらいを対象として、KHコーダーを用いて分析した結果、改定の前後では大きな変化を確認することができなかった。