本研究の目的は、痴呆性老人を在宅で介護する家族が虐待に至ってしまう要因は何かについて、事例および文献を通して明らかにすることである。 まず、文献を通して、高齢者虐待の定義を明確にした。次に、実際に痴呆性老人を介護しながら、虐待には至っていない家族への面接を通して、介護の場面では、何らかの精神的・身体的負担が重なりあうと、虐待という行動に至ってしまわざるを得ない状況を生じてしまうことが分かった。医療・保健・福祉の専門家は連携して、これらの発生的要因を早期に断ち切り、介護家族への相談・保護・支援をする