本稿は、12世紀ドイツにあって女子修道院長をつとめ、独特の考え方に基づき医療・救済活動を行ったヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegart von Bingen)について、「自然学」(Phisica)の中の「植物の書」及び「病因と治療」(Causae et Curae)を手がかりに、根本となる人間観。医療観・疾病観に焦点を当て、彼女の医療医療活動の現代における意識を考察したものである。その結果、ヒルデガルトの考え方の特徴は、人間を宇宙も含めた全体の中で捉え、全てを連関するものと考えているということ