Shunan University The bulletin of Liberal Arts Education Center

PISSN : 2760-0939

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令和3(2021)年に発足した周南公立大学総合教育センター初の紀要を刊行するにあたり、センター長の大坂による巻頭言を掲載する。あわせて、令和6(2024)年度にセンターが実施した主要な取組を簡潔に報告する。
PP. 1 - 2
ウェルビーイングは社会全体のポジティブな意味で活性化させる可能性が指摘されてきた。徳山大学(現周南公立大学)ではこのような現状に鑑み,ウェルビーイング教育を始めている。また,それに先駆けてEQ教育として,大学教育によって身につけられることが望ましいと考えられる8 つの非認知能力側面(徳山EQ)の教育を推進してきた。しかし,このような非認知能力側面がウェルビーイングを高めるのかどうか,また,それは情動知能の運用能力(情動コンピテンス)を超えて効果を示すのかが検証されていない。同様に,8つの側面がいずれもウェルビーイングを高めることに寄与するのかどうかも検証されていない。本研究ではこれらの点を明らかにするために,大学生を対象に調査を実施した(N = 509,Mage = 18.2, SD = 1.68)。分析の結果,8 つの徳山EQ 側面はウェルビーイングと正の関連を示し,これは情動コンピテンスを統制しても示された。さらに,徳山EQ 側面のうち,特に自己志向性に関する側面がウェルビーイングを高めることに寄与することが示唆された。本研究を踏まえ,今後への示唆について議論した。
PP. 5 - 12
This study aims to provide fundamental data to support the educational philosophy and objectives of Shunan University. It analyzes the results of physical fitness assessments and surveys on exercise habits, sports participation, and lifestyle behaviors conducted in the General Physical Education I course for first-year students enrolled in the 2024 academic year. The physical fitness assessment indicated that many male students demonstrated above-average fitness levels, with those in the Department of Sports and Health Science excelling in muscular endurance and agility. In contrast, students in the Departments of Nursing and Information Science exhibited lower fitness levels, identifying a potential area for intervention. Among female students, overall fitness levels remained within standard ranges; however, variations were observed across different departments.
The survey results revealed that a significant number of students lacked consistent exercise habits, particularly in the Department of Information Science, where exercise participation rates were notably low. Additionally, a portion of students reported skipping breakfast regularly and experiencing insufficient sleep, suggesting potential lifestyle concerns. These findings highlight the necessity of implementing department-specific exercise programs and health education initiatives to address the diverse needs of students.
PP. 13 - 21
公民的資質は、学校教育においては社会系教科を中心に育成することが想定されているものの、2017 年告示の学習指導要領の改訂以降、特別活動においてもその育成が求められるようになった。そのため、社会系教科と特別活動が連携した公民的資質の育成が重要と考えられるものの、両者の連携のあり方は明確ではない。そこで本稿では、『日本特別活動学会紀要』掲載論文のレビューを通して、特別活動研究の文脈において、公民的資質の育成という観点から社会系教科との連携がどのように論じられているかを考察した。5 つの論文をレビューした結果、社会系教科との連携のあり方は多岐にわたり、公民的資質の知的側面に注目するもの、態度的側面に注目するもの、価値的側面に注目するものなど様々な研究が存在すること、いずれも社会系教科と特別活動が連携してそれらの資質を高めていくことの重要性を論じていることが確認できた。
OSAKA Yu 迫 有香
PP. 22 - 26
本稿は、本学の学生支援を担う一組織である「ピアサポートセンター」に関して、学内外での理解と関心を更に深めるべく、2024 年度の活動内容と今後の課題について報告するものである。大学における学生支援に関しては、2023 年9 月~ 10 月に実施された日本学生支援機構の調査結果において、全国でおよそ半数の大学がピアサポート制度を採用していることが明らかにされている。また、一言に「ピアサポート」といっても、その支援領域や報酬の有無等において、様々な形態があることが示唆された。本学のピアサポートセンターは、有志の学生スタッフを中心に学生同士の学び合いや交流の場となることを目指したものであるが、教職員との連携を含めて様々なイベントを企画・実施するなど、活動の柔軟性が高い点が特徴として挙げられる。一方、学生支援組織としての更なる充実を考える上では、センター利用者数の拡大とピアサポーターの養成という2 点が課題として挙げられた。
PP. 27 - 32
周南公立大学(以下、本学)では、2023 年6 月に英語多読コーナー(以下、多読コーナー)を新設した。
英語多読(以下、多読)は、「辞書は引かない」「わからないところは飛ばす」「合わないと思ったら投げる」という「多読三原則」(酒井, 2002)に従って文字通り大量に英語を読む学習法である。多読は、英語を英語のまま(の語順で)理解できるようになる方法として、日本の多くの大学で採用されている。本稿は、第二言語習得論の観点から多読が英語習得に効果的であるとされるその理論背景、多読コーナー新設に至った経緯と当該コーナーの運用ならびに利用状況、学生への多読推奨などについて報告する。収集したデータからは、2024 年度末時点、蔵書・利用者共に増加していることが示された。一方で、適切な読み方の周知や多読資料の不足などが今後の課題として抽出された。
PP. 33 - 41
2023 年4 月に周南公立大学で開催されたワークショップ「EQスタートアップ」について報告する。このワークショップは周南公立大学が進めるEQ 教育プログラムの入り口にあたる行事として開催され、新入生のほぼ全員が参加した。新入生の大学入学への緊張をほぐし「自己理解・他者理解」を深めるワークショップとして、上級生である「ワークショップデザインⅠ」受講生がその内容を企画し運営する形で行われた。本稿はこの行事について、参加した新入生に対して実施したEQ 質問紙によるEQ 力測定結果とともに報告する。また、旧学部体制のEQ 教育プログラムの一環としてのEQ スタートアップを総括するため、2022 年度「EQトレーニングⅠ」と比較する。
PP. 42 - 50
旧徳山大学においてEQ 教育が正課の授業として導入されたのは、平成18(2006)年度に「徳山大学EQ 宣言」が発表されてからである。この宣言では「EQ を意識的な育成の対象と捉え、オリエンテーションから卒業までの一貫した新しい教育プログラムとして全学の学生に提供する」と述べられ、翌平成19(2007)年度から総合科目の系列に「EQ 教育系」が新たに追加された。この「EQ 教育系」基幹科目として設けられたのが、「EQトレーニング」である。本稿では著者らが担当した「EQトレーニングⅠ」と運営に携わった科目「EQトレーニングⅡ」について紹介する。併せて、周南公立大学となってからのEQ 教育についても概観する。
PP. 51 - 60
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