本小稿の目的は、ドイツの老人介護士養成の成立背景と教育カリキュラムについて検討することにある。世界の先進諸国のなかで、老人介護の専門的資格制度を確立している国は、日本とドイツだけである。ドイツでは、わが国よりも約30年前の1960年代から老人介護の専門家の養成が行われてきた。しかし、当時、最初に、老人介護の養成の対象となったのは、子育ての経験のある主婦層であり、わずかばかりの医学と介護の知識が、彼女達に伝えられるだけであった。しかも、養成期間は非常に短く、その結果、即座に十分な老人介護ができないことが分