Research reports of National institute of technology, Ube College Volume 69
published_at 2023-03
Abstract : 対話は名前を呼びかける=呼びかけられることによって始まる。哲学対話においては、その際の名前としてふだんの呼称ではなく各自の「呼ばれたい名前」(Pネーム)を用いることがしばしばあるが、はたしてそのように名前を名乗りなおし、そして呼び合うことにはどのような意味があるのだろうか。本稿ではこのような問いについて考える試論として、第一節でこれまでの実践者や研究者の言説を整理し、Pネームの意義を確認したうえで、第二節で特に学校での実践に焦点を絞り、筆者の経験とともに学校でのPネーム実践について論じていく。そしてそのうえで第三節で哲学対話における名前や呼びかけの問題を考える試論として「誰が言ったのではなく、何を言ったのかがより重要である」という通説について考察を加える。一連の考察を通して、哲学対話においてPネームを用いるという実践は単なるアイスブレイクという「手法」の1つにとどまらず、哲学的な対話を人とともにする際の基本的な態度や理念と通底しているものであること、また哲学対話における名前や呼びかけの問題はこれまであまり論じられてこなかったものの考察に足る重要な論点が複数存在することを明らかにする。
Creator Keywords
Philosophical Dialogue
Philosophy for/with Children
P name
call/ called