二〇〇一年に『論争・中流崩壊』(「中央公論」編集部編、中央公論社)が発刊されて早十二年が経過した。同書が「論争」と銘打っているように、「一億総中流時代」は既に終わったとする論から、中流の崩壊は根拠が乏しい、この種の話はこれまで幾度となく繰り返されてきた物語にすぎないとする論まで、それはまさしく百家争鳴の観がある。あれから十二年。「小泉構造改革」を経て、今まさに「アベノミクス」がマスコミを賑わしており、「失われた十年」当時とは社会情勢も世論も変化してきている。そこで、あらためて「中流崩壊論争」の「争点」を検証し、「ポスト大衆社会論」を構築する糸口をつかみたい。