種類博士論文
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背景:糖尿病患者における聴覚障害の有病率は有意に高く、その予防法の開発が望まれている。 目的:本研究では、糖尿病マウスに対するエイコサペンタエン酸(EPA)投与による早期難聴の予防効果を検討した。 方法:糖尿病モデルとしてTSOD(Tsumura, Suzuki, Obese Diabetes)マウスを、コントロールとしてTSNO(Tsumura, Suzuki, Non Obesity)マウスを使用した。TSNO群とTSOD(EPA-)群(ひまわり油投与)、TSOD(EPA+)群(EPA投与)の3 群に分けた。聴性脳幹反応(ABR)を測定し、蝸牛を組織学的に評価した。 結果:TSOD(EPA+)群はTSOD(EPA-)群に比べ、閾値の上昇が小さい傾向を認めた。TSOD(EPA+)群では、生後11 ヶ月から14 ヶ月にかけて、4kHzでのABR 閾値がTSOD(EPA-)群よりも有意に低かった。TSOD(EPA-)群では、血管条の毛細血管内腔の狭小化と蝸牛軸における血管壁の肥厚が観察された。 結論:TSOD マウスに対するEPA 投与による蝸牛血管の動脈硬化の抑制は、加齢に伴う早期難聴を抑制することが示唆された。
作成者 : 松浦 貴文
角膜の剛性を表す生体力学的指標の一つとして角膜ヒステリシス(CH)があり,CHは眼圧(IOP)や中心角膜厚(CCT)などの影響を受け,眼球全体の剛性も反映することから,CH低下が緑内障の進行リスクとして注目される。一方で,硝子体は眼球を外力から保護する緩衝材としての作用があり,眼球の剛性に影響するが,硝子体とCHとの関連は明らかになっていない。本研究では硝子体切除がCHに与える影響を評価することを目的に,白内障単独手術と白内障手術併施硝子体切除術の術後早期のCHを比較した。白内障手術(PEA+IOL)を施行した18例20眼(PEA+IOL群),黄斑上膜あるいは黄斑円孔に対してPEA+IOL併施の経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)を施行した27例28眼(PPV triple群)を対象とした。術前,術後2週,術後3か月のCH,IOP,CCTおよびCHとCCTの相関関係について後ろ向きに検討した。CHは術前,術後2週,術後3か月で,PEA+IOL群において11.1±1.1mmHg,10.4±1.1 mmHg,11.0±1.0 mmHgであり,PPV triple群において11.0±1.4mmHg,9.8±1.4 mmHg,10.6±1.6 mmHgであった。CHはPEA+IOL群で術前後に有意差は認めなかったが,PPV triple群の術後2週で有意に低下していた。IOPおよびCCTは両群とも術前後に有意な変化は認めなかった。PEA+IOL群の全時点とPPV triple群の術前にはCHとCCTの正の相関関係を認めたが,PPV triple群の術後には相関関係を認めなかった。以上より,PPV triple手術ではIOPやCCT以外による要因で術後にCHが低下することが示され,硝子体切除が眼球の剛性変化をもたらしCH低下に寄与した可能性が考えられた。CHの低下は,外力や眼圧の影響を受けやすい眼球構造であると言えることから,PPV 術後のCH評価は眼圧管理の指標や緑内障の発症,進行リスクを反映する可能性がある。
作成者 : 太田 真実
本研究では、特定の遺伝子型と表現型との関連を明らかにするために、EDAR遺伝子の潜性(劣性)変異に着目し、その特徴を詳細に検討した。具体的には、過去にEDARのDD内に同定された潜性(劣性)遺伝形式を示す4 種類のミスセンス変異(p.R358Q、p.G382S、p.I388T、p.T403M)について、培養細胞での過剰発現系で一連の解析を実施した。これらの変異の中で、p.R358QはEDARADDとの結合能を失い、下流のNF-κB活性を低下させることが知られており、機能喪失の陽性対照として用いた。 まず、細胞溶解液を用いたwestern blot法では、p.R358Qおよびp.T403M変異型EDAR蛋白は野生型EDAR蛋白よりも発現量が減衰し、より大きい分子量を示した。一方で、p.G382Sおよびp.I388T変異型EDAR蛋白は野生型EDAR蛋白と同様の発現パターンを示した。また、各EDAR蛋白の細胞内での局在を解析するために実施した蛍光免疫染色法では、野生型EDAR蛋白と同様にp.G382Sおよびp.I388T変異型EDAR蛋白は細胞質内に局在が認められたが、p.R358Qとp.T403M変異型EDAR蛋白は細胞膜に発現していた。これらの結果から、変異型蛋白間で発現パターンが異なることが示された。続いて行ったNF-κBレポーターアッセイでは、すべての変異型EDAR蛋白がNF-κBの活性化を抑制したが、p.R358Qとp.T403M変異型EDAR蛋白に比べ、p.G382Sとp.I388T変異型EDAR蛋白による抑制効果は軽微であった。EDARとEDARADDの結合を検討した共免疫沈降法では、p.R358Qとp.T403M変異型EDAR蛋白はEDARADDとの結合能を完全に喪失していたが、p.G382Sとp.I388T変異型EDAR蛋白は、ある程度結合能を維持した。これらの解析で、p.G382S変異型EDARの機能喪失の程度は最も軽度と考えられた。 過去の研究で、野生型EDARはTRAF6とは直接結合しないことが報告されており、本研究で実施した野生型EDARとTRAF6間の共免疫沈降法でも同様の結果が得られた。しかしながら、驚くべきことに、本研究で解析した全ての変異型EDAR蛋白はTRAF6と直接結合する性質を示した。 培養細胞での過剰発現系においては、機序は不明だがEDAR蛋白を含む種々のTNF受容体が細胞質内に発現する傾向を示すことが知られていたことから、p.R358Qおよびp.T403M変異型EDAR蛋白の細胞膜への局在は異常な発現パターンと考えられる。NF-κBレポーターアッセイおよび共免疫沈降法の結果から、各変異型EDAR蛋白とEDARADDの親和性はNF-κB活性低下の程度と強く相関することが示唆された。今回解析した4 種類のミスセンス変異は、いずれもEDARの機能や構造に重大な影響を与えると複数のデータベースで推測されていたが、各データベースのスコアは4つの変異の間で非常に類似していた。すなわち、現在の予測ツールの解析能力には限界があり、本研究のように実際に発現・機能解析を行う重要性がハイライトされたといえる。 4種類の変異型EDAR蛋白に共通する唯一の現象は、野生型EDAR蛋白がEDARADDを介して間接的にTRAF6と相互作用するのに対し、TRAF6と直接結合することである。これは、変異型EDAR蛋白がEDAR、DARADD、TRAF6からなる正しい蛋白複合体を形成できないことを示唆しており、EDAR遺伝子変異に起因するHEDの鍵となっている可能性があるが、本現象の病的意義を解明するためには今後のさらなる検討を要する。 本研究で得られた結果に基づき、各変異を機能喪失の度合いで評価した。R358QとT403Mを「重度」、p.I388Tを「中等度」、p.G382Sを「軽度」とした。各変異を報告した文献に提示されていた表現型と比較検討した結果、EDAR遺伝子変異の機能喪失の程度がHEDの重症度と相関している可能性が示唆された。
作成者 : 八木 献
自動車事故に際しシートベルトに沿って生じる帯状の皮下出血斑はシートベルト兆候(seat belt sign:SBS)と呼ばれている。特に腹部SBS が上前腸骨棘(anterior superior iliac spine:ASIS)よりも上方に位置する場合、腹部臓器損傷の危険性が高い。本研究の目的は、腹部SBS 位置に関連するシートベルト腹部部分(ラップベルト)の位置に影響を与える因子について解析することである。本研究は、健康な成人100名(男性50名、女性50名)の身体所見と、カーシート座位時のラップベルト位置との関係を前向きに検討したものである。身体所見は、年齢、身長、Body Mass Index(BMI)、腹囲を測定した。それぞれ平均年齢37.9歳、平均身長164.9cm、平均BMI 23.9kg/m2、平均腹囲83.4cmであった。X線学的所見は、腰椎前弯(lumbar lordosis:LL)、仙骨傾斜(sacral slope:SS)を測定し、ラップベルト位置は運転席側のラップベルトの中央とASIS相当の位置に鉛テープでマーキングすることで計測した。側面X線撮影を行い、ASISから中央マーカーまでの水平距離(X値)、垂直距離(Z値)を計測した。ラップベルト角度は、2つのマーカーの上端を結ぶ直線と水平線とのなす角度を計測することで求めた。これらの身体所見とX線学的所見との関係を統計学的に解析した。X値とZ値は体重(X値r = 0.73、Z値r = 0.56)、BMI(X値r = 0.77、Z値r = 0.56)、腹囲(X値r = 0.74、Z値r = 0.52)と正の相関があり、ラップベルト角度は体重(r = -0.33)、BMI(r = -0.35)、腹囲(r = -0.37)と負の相関があった。これらの結果からは、BMIの高い乗員ではラップベルトがASISより高い位置にあるため、シートベルト損傷を引き起こす可能性が高い。この解析は、より安全なシートベルトの開発に役立つと思われる。
作成者 : 山縣 大樹
人工股関節全置換術(Total hip arthroplasty, 以下THA)においてカップ設置角度、カップ設置位置は脱臼の予防、外転筋レバーアームの再建、腸腰筋インピンジメント予防などの点で重要性はますます高くなっている。これまで後方アプローチでのComputed Tomography(CT)-based navigation使用によるcup 設置の正確性に関する報告は多数あるが、仰臥位前方アプローチ(Direct anterior approach、以下DAA)での報告は少なく、また術中イメージを使用した設置精度との比較をした報告はない。今回DAAでのTHAにおけるCT-based navigationを使用したカップ設置精度を検討した。DAAによるTHAを施行した156例171股における、カップ設置精度について、術中mechanical cup alignment guide使用群(MG群63股)、術中fluoroscopy使用群(FS群58股)、CT-based navigation使用群(CTN群50股)の3群について比較した。検討項目は、Lewinneckのsafe zone内のカップ設置割合(%)、カップ外転角(radiographic inclination、以下RI)、カップ前捻角(radiographic anteversion、以下RA)、カップの骨頭中心位置(上下、前後、内外)に関して、術前計画と術後設置角度、位置を比較し、その絶対値誤差をそれぞれ3群にて検討した。術後2週で全例CT検査を実施し、三次元解析ソフトにて誤差を抽出した。Lewinneckのsafe zone内の設置割合は、MG群80.9%(55/63)、FS群81%(47/58)、CTN 群100%(50/50)で、CTN群はMG群(p=0.005)、FS群(p=0.005)よりも有意に高かった。RIはMG群4.4±3.2°、FS群3.6±3.1°、CTN群2.8±2.5°であり、CTN群はMG群(p=0.01)よりも有意に誤差が小さかった。RAはMG群5.8±4.7°、FS群4.8±4.1°、CTN群2.8±1.9°で、CTN群はMG群(p=0.0001)、FS群(p=0.02)より有意に誤差が小さかった。RI、RAに対して絶対値誤差3°以上をoutlierとし各群間で比較した。RI についてMG群63.5%(40/63)、FS群43.1%(25/58)、CTN群36%(18/50)で、CTN群はMG群(p=0.03)より有意にoutlierが少なかった。RAについて、MG群66.7%(42/63)、FS群58.6%(34/58)、CTN群48%(24/50)でCTN群はMG群(p=0.04)よりも有意にoutlierが少なかった。カップの骨頭中心座標(内外:X軸、前後:Y軸、上下:Z軸)については、X軸、Y軸では3群とも有意差は認めなかった。しかしZ軸ではMG群3.3±3.2mm、FS群3.2±3.0mm、CTN群1.8±1.4mmで、CTN群がMG群(p=0.02)、FS群(p=0.007)に対して有意に誤差が少なかった。絶対値誤差より2mm以上をoutlierとし各群間で比較を行った。X軸、Y軸において有意差は認められなかった。一方Z軸に関してはCTN群がMG群(p=0.03)、FS群(p=0.04)よりも有意にoutlierが少なかった。今回の結果から、DAAでのTHAにおいて、CT-basedNavigation使用することでmechanical cup alignment guide使用や、fluoroscopyを使用するよりもカップ設置精度が向上し、有用であることが確認された。
作成者 : 松木 佑太
背景:The Union for International Cancer Control(UICC)の tumour、node、metastasis(TNM)分類によって大腸がんの治癒あるいは再発の可能性を予測出来るため、治療方針の決定に役立っている。しかしこの分類法単独による予後の予測は不十分である。そのため予後予測因子として新たなバイオマーカーの同定が望まれている。過去に我々は、根治切除を行ったステージI、II、およびIIIの結腸直腸がん(CRC)患者において免疫組織化学によって同定されたCD4およびforkhead box P3(FOXP3)陽性T細胞密度の組み合わせの無再発生存期間(RFS)・全生存期間に対する有用性を報告した。本研究は、統計的パターン認識の手法である離散ベイズ識別則を応用することにより、T3/T4a ステージIIのCRC患者の再発を予測するマーカーの最適な組み合わせを抽出した。 方法:T3/T4aステージII患者の137症例の切除標本を用いて、12の臨床病理学的および免疫的因子を再発の予後予測因子の候補として解析を行った。 結果:比較的に予後良好とされている T3/T4aステージ II 症例で、CD4・FOXP3陽性T細胞両方の腫瘍浸潤度に最も強い影響があることが示唆された。CD4・FOXP3陽性T細胞両方の腫瘍浸潤度が低い症例群のRFSが明らかに不良であった。 結論:CD4とFOXP3陽性T細胞を組み合わせた腫瘍浸潤度がCRCの予後予測因子となり得ることが示唆され、従来のステージ分類では不十分な患者の層別化も可能になるという新規の知見が明らかになった。補助化学療法は、CD4・FOXP3陽性T細胞両方の腫瘍浸潤度が低い患者に対して考慮されるべきであることが示唆された。
作成者 : 中上 裕有樹
背景・目的:大腸癌(CRC)は、世界的に癌関連死亡の第2位の原因となっており、転移を伴う大腸癌(mCRC)患者の予後不良は緊急の課題である。以前、我々はSOMAscanアッセイを用いて、予後を予測する10種類のバイオマーカー候補を得ることができた。本研究の目的は、得られた候補タンパクの一つであるC-C motif chemokine ligand 7(CCL7)について、mCRC患者における治療前の血清CCL7濃度の予後予測性能を明らかにすることであった。 材料と方法:mCRC患者の血清(n=110)および手術標本(n=85)について、それぞれCCL7のタンパク濃度をELISA法および免疫組織化学法で検討した。また、Cox回帰分析、受信者動作特性曲線(ROC)分析、Kaplan-Meier法を用いて、タンパクの濃度と予後との関係を検討した。結果:血清CCL7濃度が高い患者の全生存期間(OS)は、低い患者と比較し、有意に不良であった。間質中のCCL7発現レベルが高い患者は、低い患者に比べ、有意に予後不良であった。 Carcino embryonic antigen(CEA)および糖鎖抗原19-9(CA19-9)の濃度は、CCL7低値群に比べ、高CCL7群で有意に高値であった。単変量解析および多変量解析により、血清CCL7濃度はmCRCの有意な予後因子であることが明らかになった。また、血清CCL濃度とCEA濃度の組み合わせにおいて、血清CCL7濃度、CEAの両方が高値である患者は、両方が低値である群と比較し、有意に予後不良であった。 結論:治療前の血清CCL7濃度および血清CCL7濃度とCEAとの組み合わせは、mCRCの予後を予測する有用なバイオマーカーである。
作成者 : 千々松 日香里
背景:肝癌は肝内転移を生じやすく、その予後は不良である。がん幹細胞様細胞(CSLCs)とは、幹細胞性、腫瘍形成能、治療抵抗性に加え、転移能亢進といった特徴を有している。近年では、がんの転移形成や制御において、宿主の免疫機構が重要な働きを担っていると考えられており、今回、肝癌細胞株から誘導したCSLCsの免疫逃避能について検討を行った。 方法:Sphere誘導培地を用いて、Sphere細胞の形態で肝癌細胞株からCSLCsを誘導した。免疫逃避に関わる遺伝子およびタンパク発現を、RNAシーケンス、フローサイトメトリー、ELISA法を用いて解析し、親株とSphere細胞とで比較した。親株とSphere細胞それぞれの、NK細胞に対する感受性について、クロム放出試験を用いて比較検討した。BALB/cヌードマウスを用いた異種移植実験にて、親株とSphereの腫瘍形成能を比較した。 結果:肝癌細胞株SK-HEP-1から誘導したSphere細胞(SK-sphere)では、親株と比較し、細胞膜上のPD-L1、PD-L2、CEACAM1の発現が亢進し、ULBP1、MICA/MICBの発現は低下していた。また、SK-sphereの培地中では、可溶型MICAの濃度が上昇していた。SK-sphereにおけるHLA class I発現低下は見られなかった。肝癌細胞株SK-HEP-1およびHLEから誘導したSphere細胞を用いて、NK細胞に対する感受性をそれぞれの親株と比較したところ、どちらのSphere細胞においてもNK細胞による細胞障害性がより低下していた。NK細胞を保持するヌードマウスにおいて、親株の移植と比較してSK-sphereを移植した際により大きな腫瘍を形成した。 結論:肝癌細胞株から誘導したCSLCsはNK細胞を介した免疫系からの逃避能が亢進している事が示唆された。
作成者 : 木村 祐太
背景:UGT1A1*28および*6遺伝子多型は、イリノテカンに関連する毒性の危険因子として知られている。しかし、UGT1A1*28および*6に遺伝子変異を持たない患者においても、イリノテカンによる重篤な副作用が認められている。我々は、UGT1A以外のイリノテカン毒性の有用なバイオマーカーを同定するために、全エクソームにおける遺伝子多型を調査した。 方法:FOLFIRI療法、FOLFOX療法、FOLFOXIRI療法を投与された転移性大腸癌(mCRC)患者178例とmodified FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法を投与された膵臓癌患者87例を対象とした。ゲノムワイドスクリーニングは全エクソームシーケンス(WES)を用いて行い、バリデーション解析は加水分解プローブを用いたqPCRを用いて実施した。 結果:FOLFIRI療法症例のWES(n = 15)により、7つの一塩基多型(SNP)がイリノテカン関連毒性である好中球減少のバイオマーカー候補として同定された。7つのSNPのうち、R3H domain and coiled-coil containing 1(R3HCC1; c.919G>A, rs2272761)のSNPは、検証サンプル症例のグレード3以上の好中球減少と有意な関連性を示した。mCRC患者に対するFOLFOXIRI療法(n = 23)または膵臓癌に対するmodified FOLFIRINOX療法(n = 40)といったイリノテカン含有の3剤併用化学療法患者でも、R3HCC1多型と好中球減少との間に有意な線形傾向がみられた(それぞれP = 0.017 および0.046 )。一方で、イリノテカンを含まないレジメン(mCRC患者に対するFOLFOX療法(n = 66)、膵臓癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法(n = 47))患者では、有意な関連は認められなかった。 結論:R3HCC1多型は、mCRCと膵臓癌に対するイリノテカンを含む化学療法の毒性に関する有用なバイオマーカーとなる可能性がある。
作成者 : 兼定 航
細胞シート移植治療の普及には利便性の高い細胞シートの保存方法の開発が不可欠である。細胞シートから分泌される成長因子によって創傷治癒は促進されると考えられてきたため、その保存には細胞生存率が重要視されてきた。そのため、積層線維芽細胞シートの乾燥保存に関する検討はこれまでにない。本研究では、乾燥保存した積層線維芽細胞シート(Dryシート)を開発し、糖尿病マウス全層皮膚欠損モデルでの創傷治癒促進効果を検証した。 マウスの尾から単離した線維芽細胞を用いて、積層線維芽細胞シート(Livingシート)を作製した。Livingシートを風乾させ、Dryシートとした。Livingシートに凍結解凍操作を繰り返してFreeze-thaw(FT)シートとした。各シートを培地に浸漬して溶出液とし、各溶出液中の成長因子を測定した。Vascular endothelial growth factor(VEGF)とhepatocyte growth factor(HGF)はDryシートとLivingシートで検出したのに対し、fibroblast growth factor-2(FGF-2)とhigh mobility group box 1(HMGB1)はDryシートのみで検出した。FTシートではこれらの成長因子をほとんど検出しなかった。細胞シートの溶出液を添加して線維芽細胞を培養し、溶出液の生理活性を線維芽細胞増殖試験で検討した。DryシートはLivingシートと比べ、細胞増殖と成長因子産生量を有意に促進し、FGF-2中和抗体で阻害すると、この細胞増殖反応は抑制された。糖尿病マウス全層皮膚欠損モデル(C57BL/6N)において、自家及び他家(C3H/He)の線維芽細胞から作製したDryシート貼付群は無治療群に比べ、創の閉鎖を有意に促進した。Dryシートは常温(23℃)よりも冷蔵(4℃)での保存安定性に優れ、少なくとも4週間の冷蔵保存ではDryシートのFGF-2の減少を認めなかった。 以上から、DryシートはFGF-2の放出という新たな作用機序で創傷治癒を促進することが明らかになった。他家細胞から作製されたDryシートは、創傷治癒を促す再生医療において新たな扱いやすい被覆材であることが示唆された。
作成者 : 松野 祐太朗
本研究の目的は、皮膚潰瘍モデルマウスにおいて、凍結保存した他家線維芽細胞シートの治療効果を検討することである。他家細胞シートの凍結保存が可能であれば、様々な疾患への応用が可能であり、大幅なコストダウンによる再生医療の普及に貢献できると考えられる。本研究では、3Dフリーザーを用いて線維芽細胞シートの凍結を行った。凍結融解した線維芽細胞シートは、非凍結線維芽細胞シートと比較して、細胞生存率は約80であり、vascularendothelial growth factor VEGF )、hepatocyte growth factor HGF)、stromalderived factor 1α SDF1αの培養上清中の濃度が50%以上で、transforminggrowth factor β1 TGFβ1の分泌能は同等であった。皮膚潰瘍モデルマウスにおいて、非凍結線維芽細胞シート群と凍結融解した線維芽細胞シート群の間で、自家細胞、他家細胞のどちらも創傷治癒率に差はなかった。また、血管新生の程度も同等であった。治癒組織におけるCD3陽性細胞数は、自家線維芽細胞シート群と比較して他家線維芽細胞シート群で多く見られた。しかし、病理組織学的には、凍結融解した他家線維芽細胞シート群の線維化、新生血管密度、創傷治癒速度は、非凍結他家線維芽細胞シート群に比べて凍結融解した自家線維芽細胞シート群に類似していた。これらの結果から、凍結融解した他家線維芽細胞シートが難治性皮膚潰瘍に対する有望な治療オプションとなる可能性が示唆された。
作成者 : 池 創一
ミエリン関連糖蛋白 (myelin-associated glycoprotein: MAG) は,神経組織の髄鞘に局在する膜貫通糖蛋白であり,MAGに対するIgM型自己抗体 (MAG抗体) を有する患者では脱髄性末梢神経障害をきたす.末梢神経には血液神経関門 (blood-nerve barrier: BNB) があるために,通常は免疫グロブリンなどの大きな分子が神経内に侵入することはできない.しかし,MAGニューロパチー患者から採取した腓腹神経内有髄神経線維の髄鞘にはMAG抗体が沈着しており,MAG抗体はBNBを通過していることが想定される.MAG抗体のBNB通過機序を明らかにすることを目的に,MAGニューロパチー患者血清,ヒトBNB構成内皮細胞株と周皮細胞株,MAGニューロパチー患者から採取した腓腹神経検体を用いて解析を行った.MAGニューロパチー患者血清を作用させた内皮細胞に対して,全RNAトランスクリプトーム解析と免疫染色を用いたハイコンテントイメージング解析を行い,NF-κBの活性化とTNF-αの発現増加を確認した.次に内皮細胞と周皮細胞を共培養したBNB in vitroモデルで透過性を解析した. MAGニューロパチー患者血清を作用させた結果,10 kDaデキストランやIgGの透過性を変化させることなく,IgMやMAG抗体の透過性を亢進させ,TNF-αの中和抗体を添加することでIgMやMAG抗体の透過性は抑制された.電子顕微鏡による観察ではMAGニューロパチー患者の腓腹神経内でBNBを構成する微小血管の密着結合は保たれており,内皮細胞内に多数の小胞が確認された.MAGニューロパチー患者では,MAG抗体はBNB構成内皮細胞の自己分泌TNF-αの増加を介して内皮細胞質内をトランスサイトーシスの機序により通過していることが示唆された.TNF-α阻害薬は既存の薬剤であり,本研究結果から,TNF-α阻害薬によるMAGニューロパチー患者への新たな治療戦略が期待される.
作成者 : 佐藤 亮太
小胞体ストレスの増加は、動脈硬化において血管平滑筋培養細胞(VSMCs)の形質転換(分化→脱分化)と強く関連している。小胞体のCa2+貯蔵量減少は、VSMCs における小胞体ストレスの増加の主要な原因の一つである。リアノジン受容体(RyR)は筋小胞体膜上に存在する主要なCa2+放出チャネルである。正常細胞の安静状態ではカルモジュリン(CaM)はRyR と結合し、RyR を閉鎖した状態で安定化させている。CaM とRyR の結合が減弱すると、RyR から異常なCa2+漏出が起こり、Ca2+貯蔵量が減少し、小胞体ストレスが増加する原因となり得る。そこで我々は、マウスのVSMCs を用いてRyR に結合しているCa(CaM-RyR)が小胞体ストレスにより引き起こされるVSMCs の形質転換に重要な役割を果たしているか否か、また、CaM-RyR の結合親和性を高める作用を有するダントロレン(DAN)がVSMCs の形質転換に影響を与えるか否かを評価した。 小胞体ストレスによりCaM がRyR から解離し、核内へ移行することにより、MEF2 とKLF5 の核内での発現量が増加し、このMEF2-KLF5 のシグナル伝達経路が活性化することでVSMCs が形質転換(分化→脱分化)し、増殖能や遊走能を有するようになり動脈硬化巣の形成や不安定化につながるという新たな知見を得ることができた。さらにCaM-RyR の結合親和性を高めるDAN は、RyR チャネルを安定化させ、異常なCa2+漏出を抑制し、小胞体内のCa2+貯蔵量を保持することで小胞体ストレスの増加を抑制し、さらにCaM の核内への移行を制御することで、MEF2-KLF5 経路の活性化を抑制し、その結果としてVSMCs の形質転換を抑制することが示され、動脈硬化巣の進展化、不安定化に対する全く新しい治療戦略となり得る可能性があることが示唆された。
作成者 : 内田 智之
Pandemic influenza virus A(H1N1)pdm09 infection occurred in healthy children and young adults, but asthmatic patients presented more rapid progression of respiratory distress and plastic bronchitis. To investigate the pathogenesis of worsening respiratory symptoms after A(H1N1)pdm09 infection, we focused on matrix metalloproteinase‐9 (MMP‐9) and tissue inhibitor of metalloproteinases‐1 (TIMP‐1). MMP‐9 and TIMP‐1 levels in bronchoalveolar lavage fluid and serum from mice with and without asthma were evaluated after A(H1N1)pdm09 or seasonal A(H1N1) infection. MMP‐9 levels were more elevated in Asthma/A(H1N1)pdm09‐infected mice than in non‐Asthma/A(H1N1)pdm09‐infected mice on both 3 and 7 days post‐infection. Immunohistochemical findings in this pneumonia model showed that MMP‐9 and TIMP‐1 positive cells were observed in blood vessels and bronchus of lung tissue in severe pathological findings of pneumonia with asthma. Microscopically, shedding cells and secretions were conspicuous in the trachea on days 3 and 7 postinfection, in the A(H1N1)pdm09‐infected mice with asthma. Our results suggest that MMP‐9 and TIMP‐1 expressions are related to severe pneumonia in the A(H1N1)pdm09 infection with asthma, leading to cause epithelial cell shedding.
作成者 : 木村 献
背景:がん幹細胞 (CSC) は、発がん、再発、転移、治療抵抗性に重要な役割を果たすと考えられている。我々は、化学療法抵抗性と転移能を有するがん幹細胞様スフィア細胞 (CSLC) の誘導に成功した。CSLC に対する標的治療の開発を可能にするため、CSLC のこの表現型の原因となる遺伝子を同定した。 方法:ヒト肝がん細胞株SK-HEP-1 を用い、独自のスフィア誘導培地を用いてCSLCを誘導し、HuH-7 細胞を非スフィア形成細胞として同条件で使用した。RNA シーケンシングを行った後、定量的 RT-PCR とウェスタンブロッティングで検証した。ノックダウン (KD) 実験はCRISPR-Cas9 によるゲノム編集により行い、レスキュー実験は発現プラスミドベクターを用いて行った。細胞の化学療法抵抗性と肝転移は、MTS アッセイと細胞の重度免疫不全マウスへの脾臓注入後の解析で評価した。培地中のエクソソームの定量は、EL ISA 法を用いて行った。 結果: RAB3B は、RNA シーケンシングによりCSLC と予後不良の肝細胞がん (HCC)の両方で発現が増加している遺伝子として同定された。RAB3B-KD 細胞は、スフィア形成、化学療法抵抗性、転移能などのCSLC 表現型の変化を示し、これらはRAB3Bの相補化によって回復された。CSLC ではエクソソーム分泌の増加が観察されたが、RAB3B-KD 細胞では観察されなかった。また、RAB3B の発現は、ABCG2、APOE、LEPR、LXN、TSPAN13 の発現と相関していた。 結論:RAB3B のアップレギュレーションは、CSLC の化学療法抵抗性と転移能に重要な役割を担っている可能性がある。
作成者 : 恒富 亮一
オートマトン理論と形式言語理論のいくつかの文献では,2進n次元ドブリュイングラフと,正規言語(0+1)*1(0+1)^{n-1}を受理する最小状態数の決定性有限オートマトンD2,nの状態遷移図が同型であることを暗に示している.この2進の場合の同型性は比較的容易に証明されるが,この結果をk進に拡張した場合の同型性を厳密に証明することが望まれる.本研究ではこの第1の目的を達成するために,新たに“色付き有限オートマトン(CFA) "という計算モデルを導入し,正規言語によって一般のk進ドブリュイングラフに対するある種の特徴づけを与える. 本研究の第2の目的は,受理状態を多色化することにより入力文字列を多種類に類別可能にしたこのオートマトンの性質を更に考察することにある.ところで,CFAが非決定性(NCFA)の場合には,的確な識別を可能にする為には受理状態の色が混色していない(すなわち,異なる2色以上の受理状態で受理されるような入力が存在しない)状況が望まれる.そこで,非混色性に関する計算量理論上の三つの決定問題(非混色性検証問題,非混色分割問題,非混色拡張問題)を新たに提案し,それぞれの計算複雑さがNLOG完全,P,ならびにNP完全であることを明らかにする.なお,色付き有限オートマトンの正規表現エンジンやモデル検査への応用も例示する. 次に,色付き受理の概念をプッシュダウン・オートマトンに適用した‘‘色付きプッシユダウン・オートマトン( CPDA) "を新たに導入し,上述の非混色性判定問題すべてが決定不能となる一方,対象を非曖昧なオートマトンに限定すると一部の問題が常に真な問題に容易化することを示す. このように,色付き受理の概念は受理状態集合を持つような任意のオートマトンモデルに適用可能であり,その理論上ならびに応用上の幅広い有用性が今後期待される.
作成者 : 高橋 芳明
Political connections are considered a valuable resource in not only high-corruption countries but also low-corruption countries. This dissertation investigates the relationship between political connections and Sharia compliance, aiming to deepen understanding of the nature of political connections, as Sharia compliance prohibits engaging in corruption. Specifically, I analyze whether: 1) political connections and Sharia compliance affect merger and acquisition (M&A) performance; 2) connections to politicians affect the market response to firms' inclusion in or exclusion from the Indonesia Sharia Stock Index (ISSI); 3) political connections and Sharia compliance have been valuable during the COVID-19 pandemic; and 4) political connections affect firms' environmental performance. This dissertation comprises six chapters. Chapters 1 and 6 respectively introduce and conclude this dissertation. The remaining four chapters (i.e., Chapters 2-5) are essays on the empirical relationship between political connections and Sharia compliance. In Chapter 2, I study the impact of political connections and Sharia compliance on M&A performance, focusing on M&A deals in Indonesia during 2010-2016. I find that while political connections can improve market reactions to M&A announcements, Sharia compliance has a positive but insignificant impact on M&A performance. I further find that there is a substitution relationship between Sharia compliance and political connections: Sharia -compliant firms with political connections have poorer M&A performance than non-Sharia-compliant firms with political connections. Chapter 3 examines market responses to firms' addition to and removal from the ISSI and how political connections influence those market responses. I employ two kinds of analysis. First, using the event-study methodology, I measure abnormal returns surrounding the announcement of each firm's addition to or removal from the ISSI. Second, to more precisely identify the relationship between political connections and Sharia compliance, I use a pooled regression analysis. The results show that neither addition to nor removal from the ISSI produces abnormal returns for Indonesian firms, indicating that investors are little concerned with ISSI reconstitutions. Furthermore, political connections increase firms' value before inclusion in the ISSI, but the benefits of these connections are lost after their addition to the index. Chapter 4 offers novel evidence by investigating the value of political connections and Sharia compliance during the COVID-19 pandemic. I use the event-study methodology to measure the stock market reaction to the COVID-19 pandemic, and conduct a pooled regression analysis to more precisely identify the value of political connections and Sharia compliance during the pandemic. I find that a stock market anomaly occurred during the COVID-19 pandemic in Indonesia, in that the pandemic had a positive impact on the stock market. I also find that there was value for firms in being Sharia-compliant during the pandemic when the government announced tax incentives for firms. In Chapter 5, I investigate the relationship between political connections and the environmental performance of Sharia -compliant firms. I use a unique sample of firms covered by Indonesia's Program for Pollution Control Evaluation and Rating during 2013-2019. I find that political connections are less (more) valuable for Sharia-compliant firms (non-Sharia-compliant firms) m enhancing their environmental performance.
作成者 : Wahyono Budi
The role of optimization can be found in almost all aspects of human life. Optimization is common in but not limited to the fields of engineering, economics, design, and planning. Although the optimization problems to be solved change, the optimization goal never changes. That is to find effective solutions efficiently. In modern optimization studies, the metaheuristic algorithm has been one of the most interesting methods, considering the demands of a reasonable computational time. Many metaheuristic algorithms have been introduced. However, based on the number of tentative solutions used in the search process, metaheuristic algorithms can be categorized into (1) population-based or (2) single-trajectory-based algorithms. The searching with singletrajectory-based metaheuristic algorithms manipulates and modifies a single solution point in every iteration. In contrast, the population-based metaheuristic algorithms combine a set of solution points to create new solutions in every iteration. A metaheuristic algorithm usually consists of two components, i.e., exploration and exploitation. Exploration means searching for solutions in the global space. In contrast, exploitation means searching for a solution by focusing on a small area or an area near an already known solution. The single-trajectory-based metaheuristic algorithm is exploitation-oriented. On the other side, the population-based metaheuristic algorithm is exploration-oriented because of searching by many points distributed on all search spaces. Balance settings between exploration and exploitation are needed to produce good solutions. In fact, most population-based algorithms will encounter decreasing in exploration and become too exploitation-oriented as the iteration increase. Any metaheuristic algorithm applies parameters to control the behavior. However, the parameters usually do not provide a good intuition of the rate of exploration and exploitation. Hence, reaching a balance between them is hard to predict just by the algorithm parameters. This dissertation proposes a conceptual design combining the spy algorithm and B-VNS. The spy algorithm is a population-based metaheuristic algorithm that mimics the strategy of a group of spies, the spy ring. The spy algorithm is a new concept with the main idea to ensure the benefit of exploration and exploitation, and cooperative and non-cooperative searches always exist. This goal is implemented by utilizing three kinds of dedicated search operators and regulating them in a fixed portion. The occurrences of exploration and exploitation are controlled by algorithm parameters. Thus, the spy algorithm parameters provide good before-running intuition to easier reach the balance between exploration and exploitation. The spy algorithm is first designed to be used in the continuous optimization model. The spy algorithm was compared to the genetic algorithm, improved harmony search, and particle swarm optimization on a set of non-convex functions by aiming at accuracy, the ability to detect many global optimum points, and computation time. The Kruskal-Wallis tests, followed by Games—Howell post hoc comparison tests, were conducted using a. for the comparison. The statistical analysis results show that the spy algorithm outperformed the other algorithms by providing the best accuracy and detecting more global optimum points within less computation time. Furthermore, those results indicate that the spy algorithm is more robust and faster than other algorithms tested. On the other hand, the B-VNS algorithm is a modification of the variable neighborhood search (VNS) algorithm. The benefit of VNS comes from its thorough search while avoiding the local optimum trap by moving to the neighboring point called shaking. The local search after shaking is another benefit of VNS that makes VNS a prominent algorithm. However, the thorough search has the drawback of long computation time. This dissertation introduces a modified neighborhood structure to reduce the computation times. The main idea is to apply the binomial distribution to create the neighboring point. As a result, the neighborhood distance has a random pattern. However, it follows a binomial distribution instead of a strictly monotonic increase like in VNS. The B-VNS is a modification of VNS and is classified as a single solution-based algorithm. The B-VNS is intended to solve combinatorial optimization problems, particularly the quadratic unconstrained binary optimization (QUBO) problems categorized as NP-hard problems. The B-VNS and VNS algorithms were tested on standard QUBO problems from Glover and Beasley, on standard max-cut problems from Helmberg-Rendl, and those proposed by Burer, Monteiro, and Zhang. Finally, Mann-Whitney tests were conducted using a. to compare the performance of the two algorithms statistically. It was shown that the B-VNS and VNS algorithms are able to provide good solutions, but the B-VNS algorithm runs substantially faster. Furthermore, the B-VNS algorithm performed better in all of the max-cut problems regardless of problem size and in QUBO problems with sizes less than The spy algorithms and B-VNS have different designs in the process and the domain of the solved problems. However, considering the benefit of the spy algorithm and B-VNS, their combination has the potential to provide good results. Conceptually, the spy algorithm can be seen as the first step of B-VNS. Conversely, B-VNS can be considered an additional refinement for the spy algorithm.
作成者 : Pambudi Dhidhi
過去数十年にわたる急速な人口増加と経済発展は、化石燃料に対する世界的な需要の急激な増加を引き起こし、それによってエネルギー危機をもたらしている。この問題は、燃料ガスの転換と製造方法の改善によって軽減することができるが、他のガスとの分離を高効率で行うことが一つの課題である。そのため、消費エネルギーが少なく高効率な分離技術が必要とされている。過去30年、高分子膜や無機膜を用いる膜ガス分離は、エネルギー効率、操作の単純さ、コスト競争力、および小さな設置面積などの利点により多くの注目を集めてきた。高分子膜は実際の商業ガス分離に利用されているが、その分離性能は実用範囲を広げるには十分ではない。無機多孔質膜の1つである分子ふるい炭素(CMS)膜は、高分子前駆体の熱分解で製造できる。その細孔構造は、分子ふるい能力を有し、優れた耐熱性および化学的耐性も備える。CMS膜の分離特性は高分子膜の性能上限を超えている。このことからCMS膜は膜ガス分離において必要な分離膜の魅力的な候補である。 CMS膜の細孔構造、分離性能、およびガス透過機構は、高分子前駆体の種類、熱分解条件、および前処理と後処理に依存する。この論文では、市販のポリイミド中空糸膜と木タールを前駆体としたCMS膜を作製し、熱分解条件と後処理がガス透過特性に及ぼす影響を調べている。 第2章では、熱分解プロセスにおけるトルエン蒸気の添加が高分離性CMS膜の作製に用いることができることを初めて報告した。熱分解プロセスにおいてトルエンのような炭素源を添加する方法は、従来の化学気相成長法に比べて簡便な方法である。また、トルエンの使用は、炭化水素ガスを炭素源として用いる場合のような高コストの供給方法を回避することができる。トルエン蒸気の添加はCMS膜のH2分離性を大きく増加した。この分離性の増加はトルエン蒸気を加えずに熱分解温度だけを調節する方法では達成できないものであった。トルエン蒸気を添加して作製したCMS膜は、文献で報告されている炭化水素ガスを添加したCMS膜と比較して、より高い透過速度と適度な分離性を示すことが分かった。熱分解温度と添加時間を調節することで、ガス透過速度や分離性を容易に制御することができた。その最適な条件は分離したい対象ガスによって異なる。本研究は、熱分解プロセスに液体炭化水素を蒸気として加えることで、高分離性CMS膜を容易かつ効率的に調製できることを示した。 第3章では、トルエン蒸気を添加して作製したCMS膜の高分離性達成のメカニズムについて、さらに検討を行った。トルエン蒸気を添加したCMS膜の物理的および化学的特性について、いくつかの高度な特性評価技術を使用して評価した。トルエン蒸気の添加により、CMS膜の外表面領域に炭素が堆積されることがわかったが、これは以前の報告と一致した。また、ガス吸着実験から、トルエン蒸気の添加により、超微細孔の消失と狭窄が起こることが示唆された。これらの結果を踏まえてトルエンを添加したCMS膜の高選択性達成のメカニズムを考察した。 第4章では、新規な多孔質炭素繊維(PCF)を用いて担持型の木タール由来CMS膜の作製方法を検討した。近年、CMS膜の開発に必要な多孔質支持体の入手が困難であり、新規な支持体が切望されている。そこで、従来からよく使われている市販の多孔質セラミック管を用いたCMS膜と同じ条件で作製し、その特性を比較検討した。PCFは相互に連結した細孔からなり、ガス輸送のための追加の経路とチャネルを提供するのに対し、セラミック支持体の多孔質構造はアルミナ粒子間の空隙から構成されている。どちらの支持体も、70%木タール溶液がCMS膜の調製に最適な溶液であることがわかった。PCFを用いたCMS膜は、セラミックス多孔質支持体を用いたCMS膜よりも高いガス透過速度と分離性を示した。さらに、異なる熱分解温度で炭素化した一連のPCF担持CMS膜を作製したところ、600􀀀で熱分解した膜が最も高いH2選択性を示した。この研究により、PCFが木タール溶液由来の担持型CMS膜に使用できることを示すことができた。PCFは他の高分子前駆体から得られる担持型CMS膜の支持体としても有望と考えられる。 最後に第5章で、本論文の要約をまとめる。
作成者 : 聶 静