子供の衣服は成人のものと異なり、本質的に着せられる衣服であるという特殊性をもつ。アリエスは、近代的な意味においての子供観の歴史を検証する上で、子供の衣服を子供に生じた変化を証言する貴重な証拠として取り扱っている。16世紀の英国は、視覚性が重んじられ、身分や地位に応じた装いをすることが要求され、年齢もまたそのひとつの要素として意識されることになり、子供を子供として区別する衣服が誕生してくるのである。最初に男児が成人男子と区別され、続いて女児が区別する記号的作用を持つ背中の飾りリボンが成立すること(以下、略)