本学総合人間・文化学部において臨床心理学研究室所属の2年生に対して構成型エンカウンター・グループが行われた。今回のグループでは大学院生と学部の3年生がファシリテーターとして参加した。本稿の目的は臨床心理学の教育という視点から見て、ファシリテーター体験がその学部3年生にとってどのような意義をもっているのかを探ることにある。構成型エンカウンター・グループにおいては"ファシリテーター"とは、セッションの課題を教示する役割のそれと、サブグループにおいてメンバーの自己表現を促す役割のそれとの2通りがある。それぞれのファシリテーター体験を学生がどのように感じ、そこから何を学び取っているのか、を学生の自由記述から検討した。その結果、学生はファシリテーター体験のうちでも特にサブグループの中でメンバーの表出を促進するグループファシリテーター体験に困難と同時に奥の深さを感じ取っていることが分かった。心理臨床の実務をすることの出来ない臨床心理学専攻の学部生にとって、今回のようなファシリテーター体験は心理臨床体験に代わりうる奥の深さを感じさせるものであり、教育的意義があることについて考察した。 : Structured encoun