発行年2020 - 2024 キーワードALK
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未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)は末梢性T細胞リンパ腫に含まれ,anaplastic lymphoma kinase(ALK)発現の有無によりALK陽性とALK陰性に大別される.ALK陽性ALCLの約60~70%が標準化学療法により長期寛解を得るが,約30~40%は再発・難治例である.再発・難治例に対して同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)は有効な治療法であるが,強度の高い骨髄破壊的前処置や移植後合併症による治療関連死亡が問題となる.筆者らは後方視的解析により骨髄非破壊的前処置(RIC)を用いたallo-HSCTの有効性と安全性を報告し,前方視的多施設共同臨床試験を現在実施中である.近年,再発・難治例に対する新しい治療法として,ブレンツキシマブ・ベドチンやALK阻害薬などの分子標的薬の有効性が報告されている.第二世代ALK阻害薬であるアレクチニブの有効性と安全性を検証するため,筆者らは第Ⅱ相臨床試験を実施した.登録された再発・難治性ALK陽性ALCLの10例中8例に奏効を認め,6例は完全寛解を得た.1年無増悪生存率は58.3%,1年無イベント生存率は70.0%であり,アレクチニブは再発・難治性ALK陽性ALCLに対して良好な治療成績を示した.加えて,全例においてアレクチニブの減量や投与中止を必要とする有害事象は認めず,高い安全性を示した.この結果によってアレクチニブは再発・難治性のALK陽性ALCLに対して保険収載され,再発・難治例に対する新たな治療法として確立した.安全性の高いアレクチニブで寛解に導入し,RICを用いた同種HSCTによって治療関連死亡を減少させることで,再発・難治性ALK陽性ALCLの治療成績を向上させることが期待される.初発例については予後因子による層別化治療に分子標的薬を用いることで,治療毒性の減弱や治療成績の向上が今後期待される.
作成者 : 深野 玲司 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2022-12-01
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