キーワード腹壁瘢痕ヘルニア 部局
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患者は88歳,男性.約40年前に直腸癌にて腹会陰式直腸切断術を施行されている.腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診した.来院時のCTにて腹壁瘢痕ヘルニアと小腸の嵌頓を認め,用手的整復を行った.心エコー検査にて重症の大動脈弁狭窄症(以下,AS)と診断された.ASはあるが,再陥頓した場合の重篤化を考慮して早急に手術を行うこととなり,ケタミンを用いた静脈麻酔併用局所麻酔下に腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.術中は血圧や心拍数,呼吸回数等のバイタルサインは安定しており,術後経過は良好で術後8日目に退院となった.現在,術後16ヵ月を経過したが,再発は認めていない.重症の心疾患を有する腹壁瘢痕ヘルニアに対するケタミンを用いた静脈麻酔併用局所麻酔下の修復術は,治療の選択肢の一つになり得ると考えられた.
作成者 : 二木 元典 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2022-12-01
腹壁瘢痕ヘルニアは開腹術後合併症の1つで,通常診療でもよく経験する.今回,腹壁瘢痕ヘルニアの内容物としては稀な肝外側区域が脱出した症例を経験したので報告する.症例は80歳代,女性.腹部膨隆を主訴に受診した. 30年前に胆石で開腹手術の既往があった.CT検査を行ったところ上腹部に2ヵ所の腹壁瘢痕ヘルニアを認め,肝外側区域と横行結腸が脱出していた.疼痛など症状は認めなかったが嵌頓のリスクがあり手術となった.全身麻酔下腹腔鏡下手術が施行された.術中所見では肝円索が腹壁および脱出していた横行結腸間膜と癒着していた.乏しい三角間膜形成により肝外側区域が肝円索に引っ張られるように吊り上がり脱出したと考えられた.2ヵ所のヘルニア門に対し各々メッシュを用い修復術が行われた.近年腹腔鏡を用いたメッシュによる修復術が増加しており,利点として腹腔内の詳細な観察が可能,術後の感染や疼痛が少ないなどの利点があげられる.今回の症例においても2ヵ所のヘルニア門の位置関係などの詳細な観察が可能であり腹腔鏡下手術は有用であった.
作成者 : 矢野 由香 | 久我 貴之 | 重田 匡利 | 河内 隆将 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2022-02-22