キーワード肝細胞癌 部局大学院医学系研究科(医学)
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【研究背景】肝細胞癌の腫瘍マーカーalpha-fetoprotein(AFP)は早期肝細胞癌に対する検査感度が低いため,新たな検査の開発が必要である.この問題を解決する方法としてリキッドバイオプシーが挙げられる.我々はメチル化Septin9(SEPT9)をターゲットとするリキッドバイオプシーとAFP検査が早期肝細胞癌の診断に有用であることを報告している.一方,Somatostatin(SST)の高度メチル化が肝細胞癌組織で認められており,肝細胞癌のバイオマーカーと考えられている.上述のSEPT9と同様,メチル化SSTをターゲットとするリキッドバイオプシーとAFPの併用検査が早期肝細胞癌の診断に有用と考えられるが,この点については未だ検証されていない.そこで,本研究ではメチル化SSTとAFP併用検査による肝細胞癌診断性能を検証した.また,メチル化SEPT9とAFPの併用検査との肝細胞診断性能比較を行った.【方法・材料】健常者群25人,肝細胞癌を合併していない慢性肝疾患群15人,肝細胞癌群38人(うち早期肝細胞癌19人)を対象とした.被検者の血清からDNAを抽出後,3種類のメチル化感受性制限酵素を用いてDNAを処理し,Droplet digital PCRによりメチル化SEPT9及びメチル化SSTのコピー数を測定した.【結果】非肝細胞癌群(健常者群+慢性肝疾患群)と肝細胞癌群の2群でReceiver operating characteristic曲線解析を行いArea under the curve(AUC)値を比較したところ,メチル化SEPT9単独検査とAFP単独検査ではAUCはいずれも0.73であり,メチル化SST単独検査での0.59よりも高かった.早期肝細胞癌群についても同様で,メチル化SEPT9単独とAFP単独のAUCはいずれも0.70であり,メチル化SSTでの0.61よりも高かった.メチル化SEPT9とAFPの併用検査とメチル化SSTとAFPの併用検査については,陰性的中率は両者でほぼ同等であったが(全ステージ肝細胞癌75.0% vs. 72.2%,早期肝細胞癌82.5% vs. 83.9%),陽性的中率はメチル化SEPT9とAFP併用検査の方が優れていた(全ステージ肝細胞癌79.4% vs. 66.7%,早期肝細胞癌63.2% vs. 50.0%).【結論】肝細胞癌スクリーニングにおいて,AFPとの併用バイオマーカーとしてはメチル化SSTよりメチル化SEPT9の方が有用である可能性が高かった.
作成者 : 山﨑 綾乃 | 末廣 寛 | 星田 朋美 | 佐伯 一成 | 山内(厚東) 由里佳 | 松本 俊彦 | 高見 太郎 | 坂井田 功 | 山﨑 隆弘 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2021-09-01
作成者 : 山﨑 隆弘 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2016-02-01
肝細胞癌(HCC ; hepatocellular carcinoma)の自然破裂はしばしば遭遇する病態である.しかし,肝動脈化学塞栓療法(TACE ; transcatheter arterial chemoembolization)施行直後に破裂を来した症例の報告は比較的まれであり,今回,HCCに対しTACE施行直後に破裂を来した一例を経験したので報告する.患者は73歳男性,背景肝は慢性肝障害(非B非C)であり,20XX年5月に肝S7のHCCに対して,開胸開腹S7亜区域切除術を施行した.翌年5月,肝両葉にHCCの再発を認め,リビオドール併用肝動脈化学療法(Lip-TAI ; lipiodol - transcatheter arterial infusion)を施行したが,肝S2の腫瘍はリビオドール貯留不良であった.7月には同S2病変は径38×20mm大に増大し,肝表面に突出していた.同病変に対してTACEを施行したが,治療終了4時間後に心窩部痛が出現し,収縮期血圧は60mmHg台に低下した.細胞外液負荷にて速やかに収縮期血圧90mmHg台まで上昇したため経過観察としたが,徐々に貧血が進行した(術前Hb11g/dl→術後Hb6.2g/dl).術後4日目の腹部エコーおよび腹部造影CTで,TACE施行後の肝S2のHCCの周囲に血腫を認めた.明らかな造影剤の漏出は認めなかったが,HCC破裂による貧血進行と判断し,同日再出血予防のため肝動脈塞栓療法(TAE ; transcatheter arterial embolization)を施行した.本症例では,HCCが増大傾向にあり,肝表面に突出していたことから,元々HCC破裂の可能性も考慮すべきであった.加えて,TAE施行後にTACE後の肝S2HCCに血流の残存を認め、塞栓が不十分であったことが判明した.以上のことから,TACEに伴う様々な刺激,血流残存などの要因によりHCC破裂を来したことが推察された.したがって,本症例のように肝表面に局在するHCCに対してTACEを施行する際には,TACE後破裂のリスクも想定して,慎重かつ確実に肝動脈を塞栓し,厳重な経過観察をしていくことが重要と考えられる.
作成者 : 福井 悠美 | 佐伯 一成 | 花園 忠相 | 田邉 規和 | 浦田 洋平 | 日髙 勲 | 寺井 崇二 | 坂井田 功 出版者 : 山口大学医学会 発行日 : 2015-02-01